寒の戻りが続く朝、
空は雲ひとつない青空だけど
オフィス街に通る風はとても強く冷たい。
鼻を赤くしながら
“ ― あともう少しで温かいオフィス。 ”
そう思って足早に向かっていると・・・
あ
「ビッグイシュー発売中でーすーー!!」
あ
と、いつものおじさんの声が聞こえてきた。
少しカサカサした、聞きなれた声が
冷たいオフィス街に響き渡っていた。
あ
*************
「ねぇねぇ、ビッグイシューって知ってる?」
「うん、知ってるよー。ホームレスのおじさんが売ってるやつだよね?」
「そうそう、会社の前で声を張り上げて売ってるの。
こんなに寒いのに、夕方会社を出ても、まだ大きな声でビッグイシュー発売中でーす!!って・・・
その声を聞くとなんだか切なくてさ。だって誰も買ってないんだもの。」
「でも、私買ったことあるよ。」
「私も、面白そうなときは買ってる!」
「えー!!」
「渋谷とかよく使う駅で、がんばってるおじさん見ると
買ってあげようかなって気持ちにもなるし。あれ、ホームレスの支援だもんね。
今度、買ってあげなよ!」
「そーなんだぁ。みんなもう買ったことあったんだね~☆」
*************
ランチに行く道すがら、ふと友達に話してみたら
そんな言葉が返ってきた。
私は、このおじさんに会うまでは、この雑誌の存在を知らなかった。
売ってる姿を見たことがなかったし、もしかしたら見ていても
一瞬の風景としてしか目にとまらなかったのかもしれない。
でも、このホームレスのおじさんの声は私に届いたのだ。
毎日通る、地下鉄の通路で、無表情に座っているホームレスたち
時折、食べ物の差し入れをしている人を見かけるけど、
自分は何もできずに通りすがっていた。
ビッグイシューのおじさんの声に背を向けていた。
みんなも同じように。
日本は、ホームレス支援の文化が進んでいないから、
それが当たり前のようになっている。
でも、こんな風に
“生きよう”
としているホームレスのおじさんと私は
人間としてきっと何も変わりがないのだ。
喜びも、悲しみも、孤独も、人の温かみも
同じように感じ、
色んな人に支えられて生きている。
私は友達の一言で、
今日ようやく「THE BIG ISSUE」 を買うことができた。
ホームレスのおじさんが、この1冊分の売上げで
“もしかして、今日、朝ごはんを食べれるのかもしれない。”
単純にそう思った始まりだったけれど
私がおじさんから手にしたのは
この本ではなく、
目には見えない、カタチのないものだったような気がする。
生きるちから。
ありがとう、ホームレスのおじさん。
ありがとう、Noriko&Miho。
http://www.bigissue.or.jp/
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